「ロングスリーパー」
剥ぎおとされた気力
発展しない日々
何もなく一日が終わり
同じような一日だけが増えていく
煩わしい現実から目を背けようとしているのか
長い時間眠ってしまう
魂を持て余す部屋
生かし方を知らない
悔しまぎれに言ったんだ
この部屋は宇宙だと
こぼれた涙は種を植え実を結ぶ
早く目を覚ましてくれ
ロングスリーパー
|
「月をつかもうとする男」
月に手を伸ばしても
届かない事を知っている
そしてこれが安全な距離だという事も
もしあの月をつかむ事が出来たなら
もっと高い所へ放り投げてやるんだ
|
「終着駅」
放浪生活が身について
いくら遠回り
寄り道をしようが
運命に背はそむけられない
どんな道を歩もうが
宿命の元へ帰らなければならない
|
「願い事三つ」
神様どうか
引力をください
透明さをください
やわらかさをください
|
「スロースターター」
少しずつ温めてきたことなんだ
ゆっくり育んできたことなんだ
ひとつずつ整理していくんだ
才能はいつだって遅れてやってくるから
|
「旅暮らし」
道はいくらでもあるし
解釈の仕方もいくらでもある
うまくいかない事を嘆くより
星の数を数えたい
辿った道の物語から
生まれてくるもの
より高みへ行く
道筋なのかもしれない
自分を驚かしてやる
|
「無」
煩悩まみれ
世俗に埋もれる
全力で私利私欲を追いかける
手で触れられるもの
目で見えるものだけを信じ
小さなストーリーを背負って
自分の世界に固執しているだけ
深く潜っていけば宇宙がある
形に残す必要など何も無い
|
「理解」
幸せな生活にも
痛みはともなう
手に入れたら手に入れたで
失うことを恐れてしまう
いつまでも自分の抜け殻に
怯えている臆病者で
どうしてもブレーキを踏んでしまう
運命を恨んで
魂を引きずるオレを
母さんは泣いていた
|
「旅から旅への繰り返し」
理想や憧れに強迫されて
絡まってしまった
煮詰まった部屋からなんとか逃げ出し
解放され自由を得た喜びは束の間で
すぐ日常の退屈さに連れ戻される
閉ざした心で旅をしても
四畳半の部屋と
さほど変わりなかった
知らない街の夜は寂しい
街灯のない所では恐くて眠れない
本能は知っている
安全な場所に自分を追いやる事が
一番危険だという事を
|
「魂にうそをつく」
今日も時計ばかりを気にして
単純作業を繰り返す
時間が過ぎる事だけを望んで
やりがいもなく
意義を見いだせず
言われた事だけをやっている
しらじらしさ
契約が切れた時には何も残らない
偽りながら同化し
仕事が終われば自分を取り戻す
誰にでもできる仕事を続けていく事は
誰にでもできる事ではない
|
「賭ける」
真剣勝負に勝る
興奮も快楽もない
遊んでる暇はない
|
「インスピレーション」
直感的にえぐる
内にあるものを掴む
自分の感覚まで引き寄せる
コントロールしようとしてはいけない
衝動の中に飲み込まれていけばいい
理由なんて後からでもつけられる
|
「誰かが悲しんでいる」
君は知っているだろうか
どんなに落ちぶれても建前や
役割を演じていかなければならない
人間の悲しみを
君は知っているだろうか
叫びたくても声を失ってしまった
人間の悲しみを
君は知っているだろうか
感情を置き去りにしても
いつかは取りに戻らなければならない
人間の悲しみを
|
「誰にでも薔薇」
罪人を裁こうとすれば
悪は移るだけです
善悪を秤に掛けたつもりで
自分の正義を証明しようと
罪悪を押し付ける生贄を探している
神様は受け殺し
思考や選別を喜びはしないだろ
|
「この世」
誰かがこの世に生まれ
誰かがあの世へ去り
誰かが幸せの中にいて
誰かが不幸せの中にいる
誰かの恋が叶う時
誰かが失恋している
誰かが笑いもすれば
誰かが泣きもする
この世はきっとそういう所なんだろう
|
「何でも先延ばしする君へ」
情熱をラッピングする事はできない
あたためなおす事もできない
沸き上がった一瞬をすくいあげるしかない
|
「週末は自分の世界に閉じこもる」
雨が僕を閉じ込める
太陽が僕を閉じ込める
あまりにも自分が臆病で
小さな囲いを築いて
小さな事を
とても小さな事を気にしていたから
|
「心の灯火」
自分を見失って
明日がわからなくて
自分をどんなに粗末にしても
無意識はちゃんと考えてくれている
目を閉じて
胸に手を当てれば
熱いものが込み上げてくるだろう
|
「生活の音」
ふすま越しに聞こえてくる
テレビの音 笑い声
部屋に鳴り響く足音
洗い物をしながら
ハナウタを歌っている
くだらない愚痴も
憎まれ口だって
失ってから気づく
大切な音だと
ずっと聞いていると
聞こえなくなってしまう音だから
今は冷蔵庫の音だけが響いています。
|
「収まりがいい二人」
貧乏と付き合っている
お金の方が好きだが
お金は俺の事が好きではないらしい
こんな俺だけど
貧乏は好きだと言ってくれる
ずっと一緒にいようとも言われたが
貧乏には悪いが
俺はやっぱりお金の方が好きだし
できる事なら
お金と一緒にいたいと思っている
|
「自己紹介」
ぐらぐらの精神のオレは
ちょっとした事で気分が変わってしまう
いくつになっても
感情や気分に流されてしまう半人前で
ささやかな事でつまずき
今じゃ何もない所でもつまずいてしまう
ただ不安定さを嘆くのです
こんな男でも
裏返しにすれば
いい男なんだ
|
「行動でしか示せない」
本当に大切なことは
直感ですぐにわかる
迷いはしない
直感でわからないことは
どちらでもいいこと
ひらめきの人
理屈づけた時には
そこにはもういない
|
「ゆっくり這う」
空を飛ぶ者よ
大地を駆け抜ける者よ
地面を這いつくばるオレを
健全な者は笑うかもしれない
それでもオレは
魂をすり減らし
痛みと共に生まれたものだけを
この世に残す
|
「浄化」
身の丈がわからず
小さな器をいっぱいにして
不安や焦りの中で
怯えながら一人で戦っている
心の儚さを知り
行く道の細さ
生きづらさ
自分のもろさを知り
人をにらみつける事など
しなくなっていた
|
「苦労人の時代」
耐え忍ぶ時
破滅と再生を繰り返す
耐え続ければ景色は変わる
蓄えてきたシナリオだってある
あとはささやかなきっかけを待っている
今思えば
あの頃の苦悩は詩だったのかもしれない
|
「シビアな関係でいよう」
天は二物を与え
生活費を与えなかった
|
「みんなが普通にやれることができない」
もっともっと
冒険したい
もっともっと
反抗したい
もっともっと
粗削りでいたい
スマートになんか生きられない
|
「ペシミストにしてロマンチスト」
本音はいつだって恥ずかしいから
ひねくれ者のオレは
バラバラに分解して
暗号にして届けるよ
|
「ろうそくの灯でもあたたまる」
豊かさの中に隠すだけで
本質は変わっていない
いつまでも弱いままで
今も同じものを恐れ逃げている
結果で左右されない本物
克服するのではなく受け入れる
手に入れなくても私は幸せです
|
「真夜中」
ネオンの光の中には
どれほどの誠実さがあるのだろうか
路上に寝転んでいる酔っぱらいは
どんな夢を見ているのだろうか
もし僕がボロキレをまとって
新宿の街で段ボールの中で寝ていても
君は気づいてくれるのだろうか
|
「壮絶なドラマを」
心の底から幸せだと思える時が
訪れる時には
過去の苦しみ悲しみなんか
一瞬で清算されちまうんだろう
そして、こうつぶやく
こんな筋書きが待っていたのか
|